営農型(ソーラーシェアリング)太陽光発電システムとは 2023年6月19日 営農型太陽光とは、農業と太陽光発電を組み合わせたシステムのことです。(別の呼び方でソーラーシェアリングとも呼ばれます)農地を有効活用するために、 脚の長い架台(太陽光を設置するための金具類)を使用して、太陽光のシステムを設置しつつ、その下で作物を育てます。 どのようなメリットがあり、実際にどのような作物が育てられているのかをご紹介したいと思います。 営農型太陽光のメリット 収入源の選択肢 営農型太陽光を導入することで、農業を営んでいる方は電力会社への電力販売による収入源を得ることができます。 農業から得られる収入だけではなく、作った電力を売ることで収入を確保することが可能になります。 ただし、現在はFITによる全量売電制度は買取金額が減少していますので、 次項でご紹介するエネルギーコストの削減を念頭に置いていただけるとよいかもしれません。 ※「営農型太陽光発電は、3年を超える農地転用許可が認められる案件は、自家消費を行わない案件であっても、災害時の活用が可能であればFIT制度の新規認定対象とする。」とされています(抜粋:資源エネルギー庁HP) エネルギーコストの削減 農業には電力が必要なさまざまな作業や設備がありますが、営農型太陽光の導入により、自家消費できる電力を供給することができるため、電力の購入コストを削減することができます。特に農業用の大量の電力を必要とする施設や設備を持つ農家にとって、エネルギーコストの削減は大きなメリットです。また、昨今の電気代高騰により、自家消費による電気代の節約は収支に大きく関わってくる部分ではないでしょうか。近隣にご自宅等があれば、農業で使用しきれなかった電力を自宅で使用することが可能です。 営農型太陽光発電システムは太陽光発電から得られる熱エネルギーを活用して、温室や畜舎の冷却や加熱を行うことができるため、農産物の生育環境を最適化し、収穫量や品質の向上を図ることができます。 環境への貢献と持続可能性の向上 営農型太陽光は再生可能エネルギーであり、化石燃料に比べて二酸化炭素排出量が少ないため、地球環境に対する負荷を低減します。農業と太陽光発電の組み合わせは、環境にやさしいエネルギー供給方法として評価されており、カーボンニュートラルなど国で掲げられている目標に沿った施策と言えます。また、太陽光パネルの設置により、農地の二重利用が可能となり、土地の効率的な利用と農業の持続可能性が向上します。 営農型太陽光発電システムで実際に育てられている作物 営農型の太陽光発電システムはパネルを設置した下で作物を育てることが多いため、日の光をあまり必要としない作物を育てるのに最適な環境です。特徴として、日中は太陽光を遮るため、比較的涼しく、夜は外気が遮られやすい環境下にあることで暖かくなる傾向があります。そんな中で実際に育てられている作物は以下の通りです。 野菜類 小松菜・ほうれん草といった比較的日射量が少なくても育つ野菜が育てられています。これらの作物はそもそも全身で日光を浴びて育つ作物(半陰性植物と呼ばれます)ではないため、収穫も十分にされているようです。 茶類 お茶も営農型太陽光システムの下で育てられている事例があります。日光をよく浴びて、青々と育つイメージをお持ちの方もおられるかもしれませんが、太陽光モジュールによって50%程度遮光されても問題なく生育する実例も報告されています。また、外気が遮られることによって夜も暖かくなる傾向にあることで、比例して凍結や霜による被害も少なくなる傾向があるようです。 そのほかにもブルーベリーやキウイフルーツなどの果物も育てられており、着々と収穫されている事例があがっています。 参考URL:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/attach/pdf/einou-26.pdf 農業と太陽光発電システムの共存 今回は営農型太陽光発電システムについてご紹介してきました。メリットも勿論ありますが、初期導入のためには費用が発生しますし、農地を一部転用するための手続きなども必要という点はデメリットです。農業と太陽光発電は一見かけ離れた存在にも思えますが、土地の有効活用や売電収入などシナジーを生み出すことも、徐々に立証されつつあります。最後に一部報道された営農型太陽光発電システムの記事をご紹介します。ご参考いただければ幸いです。※上記記載通り、デメリットもありますので検討を設置される場合は条件等をよくご検討いただいた上で、設置することをお勧めします。 参考URL:https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000302180.html?display=full 一覧に戻る